ロボアドバイザーと確定申告
ロボアドバイザー投資で利益が出た場合、その利益に対し、投資信託やFX投資と同様、20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金が課されます。
例えば、ロボアドバイザー投資で10万円の利益が出ると、10万円×20.315%=20,315円が税金として徴収されます。
手元に残るのは、税金を引いた79,685円です。
なお、ロボアドバイザー業者に開設する投資口座の種類によっては、税金を納めるための確定申告が不要のものがあります。
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特定口座(源泉徴収有り)の場合
年間取引報告書(確定申告に必要な書類)をロボアドバイザー業者が作成し、ロボアドバイザー業者が、投資家に代わって、納税を行います。
従って、投資家は、ロボアドバイザー投資収益について、自ら確定申告をする必要がありません。
特定口座(源泉徴収有り)を活用するメリットには、下記のようなものが挙げられます。
- 証券会社(ロボアドバイザー業者)が、年間取引報告書を作成し、翌年1月末までに交付してくれます。
- 年間利益が20万円を超えても、基本的に、確定申告の必要がありません。このため、配偶者が高額な利益を得たとしても、扶養から外れる心配が要りません。
- 確定申告が不要な場合、利益の額に関わらず、健康保険料が増えません。
なお、確定申告の必要の無い特定口座(源泉徴収有り)には、元来、年間取引報告書の作成は不要なのですが、取引で損失が出た場合の「繰越控除」を行う時に、必要となりますので、紛失等には、十分に注意する必要があります。
また、特定口座(源泉徴収有り)のデメリットとして、下記のようなものがあります。
- 年間利益が、確定申告・納税の必要の無い、20万円未満でも、ロボアドバイザー業者にて控除された源泉徴収税は、戻って来ません。
- 利益が出るたびに、自動的にロボアドバイザー業者にて源泉徴収されるため、再投資等を考慮した場合、資金効率が悪化します。
特定口座(源泉徴収無し)の場合
ロボアドバイザー業者としては、各投資家用に、年間取引報告書を作成しますが、税金の納付は、ロボアドバイザー業者としては、行いません。
投資家自らが確定申告をして、適宜納税します。
特定口座(源泉徴収無し)のメリットには、下記のようなものが挙げられます。
- ロボアドバイザー業者が年間取引報告書を作成し、翌年1月末までに交付してくれます。
- 年間利益が20万円未満の場合、上掲した、「特定口座(源泉徴収有り)」と違って、税金の払い損がありません。
取引額が少額で、かつ、年間利益が20万円を超える可能性が低い場合、特定口座(源泉徴収無し)が、投資家利便の観点からは、最も適した口座となります。
なお、特定口座(源泉徴収有り)活用時のデメリットとして、下記のようなものがあります。
- 年間利益が20万円を超えると、投資家としては、自ら確定申告を行い、税金を納めなければなりません。
- 配偶者の場合、利益額によっては、確定申告の結果、扶養から外れてしまう場合があります。
- 利益が高額な場合、確定申告をすると、健康保険料が増額される場合があります。
一般口座
年間取引報告書の作成も、確定申告も、ロボアドバイザー業者は行わず、いずれも、投資家が、自分自身で、行います。
一般口座活用のメリットとしては、年間利益が20万円未満の場合、特段手間を掛けずに、利益を手にできる、という点が挙げられます。
逆に、一般口座活用のデメリットとしては、年間の利益が20万円を超える場合、投資家が自ら年間取引報告書を作成し、確定申告しなければならない、という点が挙げられます。
特定口座と一般口座の大きな違いは、年間取引報告書をロボアドバイザー業者が作ってくれるのか、投資家が自分でで作るのか、という点です。
ロボアドバイザー投資収益の確定申告で、お得になるケース
ロボアドバイザー投資で、確定申告をした方がお得になるケースとしては、下記のようなものがあります。
- 他の証券口座の利益と損失を相殺(損益通算)
- 今年の損失を翌年以降の利益と相殺(繰越控除)
- 日本とアメリカで課されている「二重課税分」の返還
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
他の証券口座の利益と損失を相殺(損益通算)
ロボアドバイザーの年間収支が損失(マイナス)だった場合、他の証券会社の口座の利益と、ロボアドバイザーの損失を相殺することで、税金を減らすことが出来ます(逆も可能です)。
例えば、ロボアドバイザーで20万円の損失が発生した年に、証券会社Aの投資口座で、30万円の利益があったとします。
ロボアドバイザーの投資口座が「源泉徴収有りの特定口座」の場合、税金が発生しませんが、証券会社A口座の30万円の利益に対しては、当然、税金が課せられます。
このとき、投資家が確定申告をすると、A口座の利益と、ロボアドバイザーの損失を相殺することで、利益が10万円に減り(30万円-20万円)、20万円分の利益に対する税金を、取戻すことがでます。
参考:
損益通算|国税庁
今年の損失を翌年以降の利益と相殺(繰越控除)
損益通算をしたとしても、まだロボアドバイザーにおける損失に残余がある場合、確定申告によって、これの繰越控除ができます。
例えば、上記A口座の利益が20万円で、ロボアドバイザー口座の損失が30万円だった場合、損益通算しても、損益はマイナス10万円です。
この場合、繰越控除によって、この「マイナス10万円」を、翌年以降3年間分の利益と、相殺することができます。
仮に、翌年の利益が15万円だった場合、15万円-10万円で、5万円分の利益に対してのみ、税金が課されることとなります。
日本とアメリカで課されている「二重課税分」の返還
ロボアドバイザーの中には、海外ETF(海外の証券取引所に上場された投資信託)に投資しているものがあります。
海外ETFの分配金に対しては、既に海外で10%の税金が課されており、その課税後の金額に対して、さらに日本国内でも20%の課税が行われます。
つまり、日本とアメリカで、二重課税となっています。
そこで、確定申告をすることにより、海外課税分の10%を取り戻すことができます。
これを「外国税額控除」と言います。
ただし、外国税額控除で得られる金額は少額であるため、確定申告の手間との費用対効果を、慎重に検討する必要があります。
例えば、100万円を投資していると、分配金は毎月数千円になり、その10%として、数百円程度が毎月二重課税されています。
多額の資金をロボアドバイザーに投資している人は、「外国税額控除」を利用することによって多くの分配金を取り戻せます。
ただ、少額投資の場合は、時間と手間を考えると、あまりメリットがありません。
ロボアドバイザーの確定申告が不要になるNISA口座の利用
一般的なロボアドバイザーは「投資一任型」になっているため、少額投資非課税制度のNISAを利用することができません。
ただ、ロボアドバイザーには「アドバイス型(助言型、とも言います)」というものがあり、このタイプのロボアドバイザーを使用した投資ならば、NISAを利用できます。
従って、利益がいくらあろうとも、非課税扱いになります。
NISAとは?|金融庁
NISA口座で運用した金融商品の利益に対しては、税金を支払う必要がなく、当然確定申告の必要もありません。
ただし、NISAは損益通算ができないため、NISAの投資商品が損失を出しても、他の口座の利益を削減することはできません。
なお、アドバイス型のロボアドバイザーは投資に関するアドバイスのみを行います。
簡単な質問に答えると、ロボアドバイザーが自動的に運用方針を決めてくれます。
しかし、運用方針に沿って金融商品を購入したり、運用調整を行ったりするのは投資家自身です。
こうした事情を踏まえると、アドバイス型(助言型)のロボアドバイザーは、以下の人に適していると言えましょう。
- 投資の知識がそれなりにあり、投資したい銘柄が決まっている。
- 費用対効果を重視し、投資の手数料を最小限に抑えたい。
- 自分の力で投資したい。
- 状況の変化に合わせた調整方法を知っている。
- 投資信託以外の金融商品に投資したい。
なお、アドバイス型のロボアドバイザーとしては、松井証券の「投信工房」や、SBI証券の「SBI-ファンドロボ」、岡三オンライン証券の「投信ロボ」などがあります。
アドバイス型のロボアドバイザーの場合、運用を投資家自身が行うため、ほとんどの業者で、利用手数料が無料になっている、というメリットもあります。
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