ロボアドバイザーと積立NISA

ロボアドバイザーと積立NISAの選択

近年は、国の年金制度の崩壊危機から、政府においても老後の生活資金を各個人が投資で賄うよう推奨しています。そんな社会状況において、数ある資産運用ツールの中で最近注目されているのが「ロボアドバイザー」と「積立NISA(少額投資非課税制度)」です。ロボアドバイザーと積立NISAでは利用する環境が異なるため、どちらを選べば良いのか迷います。

ただ、ロボアドバイザーも積立NISAも、どちらも安全性の高い投資信託で運用されることに変わりはなく、目指すところも長期、分散、積立投資ということが似ています。従って、資金的に余裕があるのであれば(年間40万円以上の投資資金)、両方を併用するという手段もあります。

ロボアドバイザーと積立NISAの違い

ロボアドバイザーと積立NISAでは根本的にシステムが異なります。

積立NISA

2018年から導入された積立NISAは、国が一般市民に対して投資を促すために導入された制度であるNISAの改良版です。NISA同様、一定の非課税枠の範囲内であれば、利益が出ても税金を課されないという画期的な優遇処置が採られています。

通常、投資で利益が発生すると、利益額に対して20.315%の税金を取られます。従って、10万円の利益を出しても、手元に残るのは約8万円です。ところが、積立NISA口座で運用した商品の利益に関しては、10万円がまるまる懐に入ります。理屈の上では、利益が100万円でも500万円でも非課税になります。

積立NISAは年間40万を20年間(現段階では2037年まで)投資した合計800万円の投資額に対して生じた利益が非課税扱いになります。当然、確定申告の必要がありません。

なお、積立NISAの適用を受けるためには、金融業者にNISAの「専用口座」を開設しなければなりません(1口座のみ)。単に口座を作っただけでは、利益に課税されます。また、積立NISAの対象商品は限定されており(約150種類)、対象商品以外で運用しても非課税にはなりません。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとしてはWealthNaviやTHEO、楽ラップなどが有名です。ロボアドバイザーというのは投資商品を提案し、商品の運用を行い、計画にズレが出れば調整までしてくれるというサービスツールのことです。

国から投資を勧められても、投資をしたことの無い人には何をどのように運用すれば良いのか分からない、というのが本音です。知識が無いのにやみくもに投資をすれば、大きな確率で資産を減らします。

そんな不安を解消してくれるのが、AI(人工知能)技術を駆使したロボアドバイザーです。膨大な過去のデータを分析し、将来の予測を立てて投資商品を選定し、売買まで自動で行ってくれます。ロボアドバイザーを利用すれば、後は何もすることがありません。

しかも、運用商品は利益の多寡や安全性の有無だけで選定されるわけではありません。利用者の年齢や収入、資産、投資経験が考慮され、さらに投資における意向やリスクに対する許容度に基づいて、AIが運用商品を選定しています。

ロボアドバイザーと積立NISAのデメリット

ロボアドバイザーと積立NISAのデメリットには以下が挙げられます。

積立NISAのデメリット

  1. 自身で運用
    運用対象商品は国から推奨された投資信託やETF(上場投資信託)など、比較的安全な商品ばかりですが、その中から商品を選択し、運用するのは利用者自身がしなければなりません。
  2. 非課税枠の持越しが不可
    非課税枠が残っていたとしても、翌年に持越すことができません。例えば、今年投資した金額が30万円だとすると、非課税枠(40万円)が10万円残ります。しかし、翌年にその10万円を足して50万円の非課税投資ということはできません。
  3. 損益通算が不可
    通常、複数の証券口座を使って投資した場合、「損益通算」と言って、各口座で出た利益と損失を合算することができます。例えば、A口座で40万円の利益が出ても、B口座で30万円の損失があった場合は、損益通算によって10万円だけが課税対象となります。
    しかし、積立NISAでは損益通算ができないため、積立NISAで損失があったとしても、他の口座の利益は全額が課税対象になります。
  4. 繰越控除が不可
    また、証券取引では損益通算しても損失額が残る場合、翌年から3年間に渡って損失額を繰越すことができます。つまり、今年20万円の損失が残った場合は、来年の利益から差引くことができます。

ところが、積立NISAは繰越控除の適用もないため、今年の損失を来年に繰越すことができません。

ロボアドバイザーのデメリット

  1. 非課税枠が無し
    ロボアドバイザーには積立NISAのような非課税の優遇処置を受けられません。ただ、ロボアドバイザーの中には税金を先送りできる機能の付帯されているものがあります(非課税にはなりません)。
  2. 手数料の発生
    ロボアドバイザーに運用を委託するため、預り資産額の1%程度の利用手数料を取られます。運用にかかる手数料の面でいうと、積立NISAの数倍になります。

ロボアドバイザーと積立NISAの比較

左:ロボアドバイザー/右:積立NISA

  • 非課税優遇:無し(20.315%申告分離課税)/有り(枠内)
  • 初期投資額:1~10万円/不要
  • 積立最低金額:月1万円/月100円
  • 運用上限金額:無し/1年最大40万円(月約3万3千円)
  • 運用期間:定め無し/最大20年間
  • 投資商品:指定のETFなど/国の基準をクリアした投資信託
  • 運用方法:自動で運用/利用者自身が判断して運用
  • 手数料:預り資産残高の約1%+信託報酬/信託報酬のみ
  • 投資知識:不要/若干必要

信託報酬はインデックスファンドで0.1%~、アクティブファンドで1%弱です。なお、ロボアドバイザーも積立NISAもコストの低い商品がラインナップされています。

ロボアドバイザーと積立NISAに適した人

  1. 積立NISAに適した人
    とにかく、資産を増やすことを目的とし、税金や無駄な手数料を取られたくない人に適しています。また、非課税対象商品は国の基準をクリアした商品であるため、投資知識の浅い人でも安心して購入できます。運用をチェックする時間的な余裕の持てる人で、投資に対する興味があり、簡単なものから投資を始めてみたいという人には積立NISAが最適です。
  2. ロボアドバイザーに適した人
    投資をしたいが、投資に対する知識が全く無く、仕事が忙しくて投資に費やす時間が取れない人に適しています。また、投資というものに自信が持てず、税金や手数料を支払っても良いから全て任せたいという人にはこれ以上ないツールです。

ロボアドバイザーを利用すれば、投資のことを気にかけなくて済むため、プレッシャーやストレスを受けずに済みます。

ちなみに、ロボアドバイザーには全ての作業を自動的に行ってくれる「投資一任型」と、商品を提案するだけの「アドバイス型」があります。アドバイス型を選んだ場合は運用を自分でしなければなりませんが、その代わりNISA口座を利用できるようになります。

従って、アドバイス型のロボアドバイザーを利用しながら、積立NISAで運用するということが可能になります。ただ、積立NISAの口座開設をできる金融機関約550社の中で、積立NISAの対象商品に対してもアドバイスしてくれるロボアドバイザーは、松井証券の投信工房だけです。

ロボアドバイザー・ラボとは|About the Author

ロボアドバイザー・ラボ
ロボアドバイザー情報専門メディア、ロボアドバイザー・ラボ。
ロボアドバイザーに関する専門情報をお届けします。

【メディア掲載】(※一部。順不同。)
・財経新聞
・朝日新聞デジタル
・SANSPO.COM
・SankeiBiz
・Mapionニュース
・楽天Infoseekニュース
・エキサイトニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス