ロボアドバイザーと投資信託を徹底比較|その違いとは
Contents
そもそも「投資信託」とは
投資信託とは、多数の投資家から資金を集めて、それをもとに運用の専門家が株式や債券などに投資し、運用で得た利益を投資家に還元する仕組みの金融商品です。
投資信託の運用会社
投資信託を運用するのは次の3社です。
- 販売会社(投資信託の販売)
- 委託会社(運用の指図)
- 受託会社(信託銀行等で運用と資金の管理)
投資家が得るリターンは、投資信託からの分配金や償還金のほか売却による売却益になります。
投資信託の価格
投資信託の取引単位は「口(くち)」で、投資信託の「基準価格」は1口または1万口当たりの価格として設定されます。通常は、1万口の基準価格が多くなります。
投資信託は複数の株式や債券などで構成され、価格はそれらの時価評価で決まり、1日に1回計算・公表されます。また、基準価額が売買単位となり投資信託の購入や換金が実施されます。
投資信託の運用コスト
投資家が負担するコストには、次の4種類があります。
- 販売手数料
- 信託報酬
- 監査報酬
- 信託財産留保額
販売手数料は投資信託を購入する際の費用で、信託報酬は運用に伴う費用(運用報酬、信託財産の管理費用等)として信託財産から差し引かれます。
監査報酬は投資信託を監査する監査法人に支払われる費用であり、信託財産留保額は投資信託を解約する際に投資家が負担する費用です。
これらの費用は各投資信託によって内容や金額(あるいは率)が異なるため、購入前の確認が欠かせません。
投資信託の種類
投資信託の投資対象は、株式、債権や不動産などの多様な資産が対象で、国内ほか海外金融商品まで対象とするタイプも多くあります。
資産クラスによる分類では主に次の4種類があります。
- 国内株式型
- 海外株式型
- 国内債券型
- 海外債券型
このほかにも国内不動産、海外不動産や金・原油などの実物資産を対象とするタイプもあります。
また、収益性・リスクの違いによる分類では「パッシブ運用」と「アクティブ運用」の2タイプに分かれます。パッシブ運用(インデックス運用)は日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動した成果を目指すタイプで、アクティブ運用は指数を上回る成果を目指すタイプになります。
参考:
そもそも投資信託とは?|投資信託協会
投資初心者に人気「ロボアドバイザー」とは
ロボアドバイザー(ロボアド)は、インターネット上で投資診断や投資アドバイスを行ったり、運用(売買や最適化等)を代行してくれるサービスです。
ロボアドバイザーは、投資家に対して最適な資産配分や投資対象の「助言だけを行うタイプ」(=助言型)と、「助言と運用までを行うタイプ」(=一任型)に分かれます。後者は、申し込んでロボアドの提案内容を了承すれば、あとはロボアドに運用まで任せることができる投資一任サービスです。
ロボアドバイザーのサービス
ロボアドのサービス内容と流れは以下のようになります。
- 投資家がサービス提供会社のサイトやアプリにアクセスする
- 投資家がロボアドの質問(年齢、金融資産、リスク許容度等)に回答する
- ロボアドが各投資家に最適な資産運用方針(ポートフォリオ)を提案する
- 投資家がその提案を了承する、または設定内容の一部等を変更し決定する
- 決定した設定内容に基づきロボアドが商品購入や、その後の調整(ポートフォリオのリバランス等)を実施する
ロボアドの投資対象
ロボアドの投資対象は運用している事業者のサービスにより異なりますが、主に海外上場投資信託(ETF)や国内投資信託が主な対象になります。
参考:
ロボアドバイザー情報専門メディア「ロボアドバイザー・ラボ」公式サイトTOP
ロボアドバイザーと投資信託の6つの違い
ここからは、ロボアドバイザーと投資信託の間にある、いくつかの相違点について、見ていきましょう。
①投資商品としての違い
一般的な投資信託への投資は、各投資家が主に自分で投資信託を選び投資する形になります。一方、ロボアドは投資家にあった最適な投資信託やETF(主に海外ETF)を、選択・購入・最適化を実施します。
両者の投資対象の範囲や数は異なりますが、主要な対象が投資信託およびETFである点は同じといえます。
根本的な違いは、投資信託は投資家自身で投資対象を選定・購入などを行う必要があり、ロボアドバイザーはサービス側でそれらを行ってくれるという点です。
②投資での手間の違い
ロボアドと投資信託は、投資の際の手間も大きく違います。個人が行う投資信託の投資方法の手順を示すと以下のようになります。
- 投資対象の資産配分を決定する
- 投資信託の商品を選定する
- 証券会社等へ入金する
- 投資商品を発注する
- 分配金の再投資、償還後の新規投資等を検討する
- 投資目的や目標に応じてにポートフォリオを修正する(リバランス等)を行う
投資信託の投資では、資金を1つの商品に充てるのではなく複数の商品に分散投資するケースが多くなります。例えば、国内株式型、海外株式、国内債券型と海外債券型を1対1対4対4の割合で投資するといった方法です。
そのため、投資家自身が対象資産を配分した上で各商品の収益性やリスクを考慮して選ぶ必要が出てきます。
この作業が投資信託の醍醐味である一方、投資経験が浅い方などにはどのように選択したら良いか分からず、時間もかかり、負担は小さくありません。その結果、投資までに時間がかかり過ぎたり、コストパフォーマンスの良くない商品を選択したりする場合もあります。
一方、ロボアドを利用すると自分で投資商品を選んで購入するという手間が省けるため、投資信託よりも簡単で手早く始められます。さらに積立投資も可能で、分配金の再投資や市場の動向に合わせたポートフォリオの最適化(見直し)を自動で行う点も投資初心者に向いています。
ロボアドは個人で投資信託を行う大半の作業や手間を自動で行ってくれるため、「投資の知識がない」「経験が浅い」「投資に時間が取れない」などの方に合った投資方法といえます。
③リスクの違い
投資信託では自分の判断で商品のリスクを評価して選ぶ必要がありますが、ロボアドは投資家のリスク許容度に応じた商品を選ぶのが特徴です。
ロボアドは最先端の投資理論を基にした投資システムなどにより、投資家のリスク許容度に適したポートフォリオを提案します。また、ビッグデータや市場データなどから投資対象等の下落を予想し、リスクの低いポートフォリオに構成し直して、リスクの軽減を図るというタイプもあります。
加えて、多数の資産クラス(株式、債券、不動産、金や原油など)でポートフォリオを構成し、国内・海外など地域の分散化も行います。そのため、ロボアドは個人による投資信託以上のリスク分散を期待することができます。
④投資額の違い
投資信託もロボアドも1万円程度の資金で投資を始めることができますが、投資信託では100円単位の積立投資も可能です。
投資信託の場合、1万口の基準価格が1万円程度の商品も多く、一般的な株式投資よりも購入しやすいですが、さらに積立投資では「毎月100円から」といった商品もあります。
一方、ロボアドの場合は提供会社によって最低投資額が10万円といった設定もありますが、THEO(テオ)などのように毎月1万円からの積立投資が可能なタイプもあります。
なお、松井証券が提供するロボアドバイザーも100円から積み立て投資することは可能ですが、運用まで行う「一任型」ではなく、ポートフォリオ提案までの「助言型」サービスとなります。
⑤コストの違い
ロボアドと投資信託の運用コストを比較してみましょう。
- 購入手数料:
投資信託では0%~3%がかかる。ロボアドは無料のサービスが多い。 - 運用手数料(信託報酬):
投資信託の信託報酬は、預け資産の1%前後が主流。ロボアドの提供会社によってコストは異なるが、WealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)などのロボアド大手では信託財産に対して年1%の手数料(3,000万円までの部分)がかかる。
運用コスト面ではさほど大きな差はありませんが、購入時のコストは投資信託のほうが高くなっており、慎重に検討をしたいポイントの一つです。
なお、投資信託の手数料のコストが気になる方には、取引手数料を0.5%に抑えて投資信託のように、成長が見込めるテーマと複数の有望な銘柄にかんたんに株式投資ができる「FOLIO」というサービスもあります。投資額は10万円前後から、購入時や運用期間中もプロの投資家によるアドバイスを受けることができるというサポートなどもあるため、初心者でも始めやすいサービスとなっています。
⑥投資までの時間の違い
ロボアドでは一般的な投資信託よりも時間をかけず簡単に取引を始めることができます。
例えば、投資信託を証券会社のWEBサイトから申し込む場合、申込手続の完了後「ログイン情報(ID/パスワード)」の郵送といった手続きが必要です。そのため申し込みから取引開始までに1週間程度かかります。
一方、THEO(テオ)などの場合、口座の開設手続はすべてオンラインで済み、用意するものはマイナンバーと本人確認書類のみとなるため、手続きは約3分で完了します。
口座開設は最短2営業日で完了し、その後入金すれば当日か翌営業日には運用が開始されます。申し込んでから最短3営業日程度でのサービス利用が可能です。
まとめ
ロボアドは投資信託よりもコスト面や分散投資の面で優れている部分があり、手続きなども簡単となっています。
ロボアドを提供する各社は、ロボアドを無料で利用できるお試し版のアプリ(スマホ向け、パソコン向け)を用意しています。
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