アメリカのロボアドバイザー事情

ロボアドバイザーはアメリカが本場

ロボアドバイザーは、資産運用のアドバイスや、実際の運用を自動で行うサービスのことです。
これにより、証券会社としては、人件費の削減や、対面での手間が省かれるため、投資家としても、通常の資産運用よりも安い手数料で投資を行うことができるというメリットや、24時間いつでも、自分の資産の状況を確認したり、運用方針の変更を行ったり、あるいは従来の資産運用の最低金額からは想像もできないような少額から始めることができる、と言う気軽さもあります。

そんなロボアドバイザーですが、2006年アメリカの金融関係のベンチャー企業であるMint(現在Intuit傘下)が、半自動の個人資産管理を開発したのが、そもそもの原型と言われています。
その後2008年のリーマンショックの後、本格的なロボアドバイザーが公開され、2010年に起業家であるJon SteinがBettermentを立ち上げ、ロボアドバイザーのアメリカでの普及が始まりました。

初期のロボアドバイザーは資産管理のオンラインサービスの一つとして利用され、ロボアドバイザー自身が運用を自動で行うものではなく、半自動のシステムでしたが、普及に伴い、様々な企業がロボアドバイザーの業界に参入し、自動運用を容易に行えるまでに進化しました。
2015年末には、世界で100社近いロボアドバイザーの運営会社が存在し、日本円にして、70兆円近い資産管理を行うようになったのです。
そして現在、アメリカでは、金融機関の資産運用の主流になりつつあります。
このように、資産管理のサービスのベンチャー企業が着手したサービスは、わずか10年ほどで、アメリカの金融世界の常識を変えるまでに進化しているのです。

ロボアドバイザーをアメリカの業者で行うメリット

ロボアドバイザーをアメリカの業者で行うメリットは、最低投資金額が非常に少ないということと、投資するETF( Exchange-Traded Fund、上場投資信託)の数が多いこと、株式や債券以外にも投資を行うリスク分散の多さ、そして手数料が低いことが挙げられます。

最低投資金額は、アメリカの大手ロボアドバイザーのWealthfrontの場合、500ドルから投資することができます。
これは、日本の大手証券会社が運営するロボアドバイザーに比べると少額です。
ただ、最近は日本でも1万円程度から運用できるものも登場しており、これはアメリカの業者のメリットとしてはやや弱いと言えます。

この他のメリットとして挙げられるのが、投資先が非常に多いということです。
日本国内のロボアドバイザー業者は、株や債券が投資先として主なものなのですが、アメリカのロボアドバイザーは、それら以外にも、天然資源や、日本ではあまり扱わない、地方自治体の債券にも投資を行っています。
このメリットとして、どこかが損失を出しても、別の場所で補てんできること、つまりリスク分散がうまく行きやすいということになります。

ロボアドバイザーは基本的に資産の長期運用を得意としています。
そのため、ハイリスクハイリターンではなく、(運用の方針にもよりますが)極力リスクを回避するように動こうとします。
これにより、リスク分散を意識した投資先の多さ、と言うのは、ロボアドバイザーにとって動きやすい環境とも言えます。

ただ、こちらも日本国内の一部のベンチャー企業が、多数の投資対象をウリにしたサービスを開始しており、こちらも徐々にではありますが、日本でも行われている試みとなっています。

最後の手数料の安さと言うメリットですが、これはアメリカの業者の最大のメリットと言えます。
2019年5月現在日本のロボアドバイザーの年間手数料は全資産の1%前後です。
しかしアメリカのWealthfrontは年間手数料が全資産の0.25%と、かなり安くなっています。
しかも、1万ドルまでの資産なら手数料は無料ということから、非常に安価にロボアドバイザーを利用することができるのです。

ロボアドバイザーは運用で極端な利益を上げることは少ないですから、手数料は意外と出費になってしまいます。
そのため、この安価な手数料は、資産運用を行う上で非常に重要な要素であり、アメリカのロボアドバイザーの最大のメリットと言えるのです。

ロボアドバイザーのアメリカでの事件

ロボアドバイザーはメリットが多く、様々な恩恵をもたらしてくれる陽の面もあれば、影の部分もあります。
実際にアメリカでは、ウェルスフロント事件と、ヘッジャブル事件と言うものがあります。
これらは米国の証券取引委員会(SEC)によって法律違反を指摘され、制裁措置を受けたものです。

ウェルスフロント事件は、前の項目でお話ししたロボアドバイザーの有名企業Wealthfrontで、ウォッシュセールルール(かなり大まかに説明すると、損失を出している株や有価証券を一度売ったら30日間は同じものを買ってはいけない)と言うアメリカの株取引の売買のルールに違反する点を指摘されました。
自動で売買した後、手動で該当の株を買ってしまうことが可能だったからです。
また、利益相反に当たる行為もあったとして、違反であるとも指摘されたのです。
これはTwitterなどでスタッフが自由に発言できていたため、そのうちのいくつかが問題発言となっていたのです。

もう一つのヘッジャブル事件は、運用の実績を他社のロボアドバイザーと比較した点で、不正確な情報を利用者に与えたという点です。
これは罰金の額が少なかったものの、関係者の信用を一気に失墜させてしまうものであったため、ロボアドバイザー大手のヘッジャブル社は廃業に追い込まれました。
このように、新しいシステムであるため、現行の法律が適応していなかったり、あるいはロボアドバイザーの仕組みが現行の法律に適応していなかったという、過渡期の問題が浮き彫りになってしまった事件とも言えるのではないでしょうか。

ロボアドバイザーのアメリカの業者はどんなものがあるの?

アメリカのロボアドバイザーは、非常に多くの企業があります。
その中でも、今回紹介したWealthfront、Vanguard、Schwab、Bettermentの4社は、運用している総資産が100億ドルを超える、大手となっています。
Wealthfrontはロボアドバイザーの専業企業として誕生した新興企業で、アメリカ第4位となっているロボアドバイザーです。
Vanguardは世界有数の資産運用会社で、ロボアドバイザー以外の従来の資産運用で、非常に大きな成功を収めている企業です。
もともと多くの顧客を持っており、その一部の顧客がロボアドバイザーを利用していると言った形です。
しかし元々巨大企業なので、その金額は大きく、全米1位のロボアドバイザーによる資産運用額となっています。
Schwab(シュワブ)もVanguardと同様に巨大な資産運用会社として有名な企業で、こちらも元々の顧客数が多いため2位につけている形となっています。
Bettermentは第3位のロボアドバイザー企業です。
こちらもWealthfrontのように新興のロボアドバイザー企業として大きな成功を収めている企業です。

このように、従来の資産運用で巨額の収益を上げている企業と、新興企業とが、シェア拡大を競い合っているというのが、アメリカのロボアドバイザーの構図です。

ロボアドバイザーをアメリカの業者で始めるには

ロボアドバイザーをアメリカの業者で始めるには、日本在住の方には難しいと言えます。
ただし、日本人でもこれらの業者で資産運用を行うことはできます。
基本的にソーシャルセキュリティナンバー(アメリカ版のマイナンバー的なもの、社会保障番号)とアメリカの住所があれば、日本人でも利用可能なのです。
これはどういった日本人なのかと言うと、企業のアメリカ駐在員とその家族、または日本人でもアメリカに移住した方です。
多くの日本人の方にはこの条件をクリアするのが難しいですが、不可能ではありません。
しかし、悲観することはなく、アメリカのロボアドバイザーの利点については、別の項目でもお話ししたように、手数料以外では多くの日本企業がアメリカのロボアドバイザーを真似してきています。
手数料1%の壁も、最近、楽天証券が打ち破るという試みを行い始めています。
さらにアメリカのようにロボアドバイザーのユーザーが増えれば競争が加速し、手数料も下がっていくことが予想されますから、ロボアドバイザーのために移住を考えたりする必要はないと言えます。

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