ロボアドバイザーとETF
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ロボアドバイザーの主な投資先となっている海外ETF
近年は、国の公的年金制度におけるシステム上の問題から、老後の生活資金を国民自身で賄うことが求められるようになっています。政府からも預貯金ではなく、投資を奨励されているのが実態です。ただ、投資を経験したことの無い人にとって、自分で商品を選んだり、運用したりすることなど簡単にできるものではありません。
そんな時に便利なのが「ロボアドバイザー」を利用した投資です。AIを駆使したロボアドバイザーが利用者に代わって最適な商品を選択したり、確実な運用をしたりしてくれます。従って、利用者は不安なく資金を投資に回すことができます。現在では、30~40代の働く世代を中心に、ロボアドバイザーの利用者が増加しています。
ロボアドバイザーの大手にはWealthNaviやTHEOなどがありますが、ほとんどのロボアドバイザーが主な投資対象としているのが「海外ETF」です。ただ、ETFという商品がどのような商品であるのかを把握している人はあまり多くありません。
ロボアドバイザーが運用するETFの特徴
ETFは「Exchange Treaded Fund」の頭文字を取ったものであり、日本語に訳すと「上場投資信託」となります。ETFは以下の3つのことが特徴として挙げられます。
1.指数に連動
ETFとは、株式や債券などの相場の「指数」に連動する投資信託のことです。例えば、株価指数で言うと、代表的なものに日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)があります。ETFはそれらの指数の値動きと連動する投資信託になります。
- 日経平均株価
東証一部に上場している銘柄の内、日本経済新聞社が流動性の高い225銘柄を選出し、株価の平均価格に除数などを考慮して算出される指数です。 - TOPIX
東証一部上場株すべての時価総額(株価×発行済み株式数)の終値をベースにして算出される指数です。なお、投資信託の運用としては、指数に連動する形で運用する「インデックス型」の他に、指数を超えるような運用を目指す「アクティブ型」があります。ただ、ロボアドバイザーで運用するETFは通常、インデックス型を採用しており、運用結果が分かりやすくなっています。
2.株式と同様な取引
ETFは投資信託の種類に含まれてはいますが、「上場」という名が付いている通り、売買方法が一般的な投資信託とは異なります。つまり、ETFは株式と同じように、取引所において投資家との間で売ったり買ったりすることができます。
投資信託の商品の特性を持ちながら、自由な売買による高い流動性というメリットも得られます。ただ、株式と同じ購入方法のために取引手数料が発生し、当然投資信託としての信託報酬もかかります。しかしながら、ETFの信託報酬は株式に対する投資信託よりもコストが低いという特徴があります。
3.分散投資
ETFは指数に投資する商品のため、必然的に指数に組み込まれている商品に分散投資する形になります。1銘柄の株式だけに投資すると、その銘柄が暴落した場合はそのまま損失に繋がります。一方、ETFは分散投資であるため、リスクの軽減が図れます。
ロボアドバイザーが運用する海外ETF
海外ETFの運用においては、投資会社は運用成果の目安とする指標をベンチマークとして設定し、ベンチマークに連動することを目指して運用します。海外ETFは世界中で取引されているため、その国ごとに主要な指標があり、その指標をベンチマークとした海外ETFが数多くあります。特に、アメリカは自国だけではなく、世界中の投資会社が売買を目指す取引所を持つだけに、アメリカの主要な指標をベンチマークとする海外ETFが非常に多くなっています。
アメリカの代表的な指標としては、NYダウ平均、NASDAQ、S&P500の3つがあり、日本の経済ニュースでもよく報道されています。そのため、多くの投資会社がこれらの指標をベンチマークとした投資商品を販売しています。従って、海外ETFを提供する投資会社は数々あったとしても、どの投資会社においてもこの3つの指標のいずれかが対象となって運用されるのが一般的です。
- NYダウ平均
アメリカのダウ・ジョーンズ社が算出している平均株価であり、30銘柄で構成されています。ニューヨーク証券取引所で最も有名な指標です。日本の一般ニュースでもアメリカ市場の株価を紹介する時はNYダウ平均が案内されます - NASDAQ
アメリカのNASDAQ市場に上場している全銘柄で構成されている指標です。ITなどのハイテク株と呼ばれる銘柄の割合の高いのが特徴になっています。NYダウ平均と同様、アメリカの株式市場の状況をチェックする時に利用される指標です。 - S&P500
ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している株価指数です。ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基準にして算出されています。
ロボアドバイザーにおける海外ETFと国内ETFの違い
国内ETFはここ数十年で約17%成長しており、金額では約20兆円に上っています。この成長率は他の金融商品の残高の伸びと比較しても相当高い数値です。一方、世界的なETF市場では20%を超える成長を見せており。残高は既に約440兆円を超えています。海外ETFは国内ETFの伸び率を大きく上回っており、このような背景から、ロボアドバイザーが海外ETFを中心に運用するのもうなずけます。
ロボアドバイザーでは海外ETFが投資の主体になっていますが、国内ETFで運用されることも少なくありません。海外ETFと国内ETFでは、投資先が海外なのか国内なのかということだけではなく、商品的にもいくつかの違いがあります。
1.海外ETFの種類
海外ETFの種類には以下などがあります。
- 先進国・新興国
先進国や新興国の株式全体に投資を行うものから、米国株や中国株など一国に投資するものまで、多彩なETFがあります。先進国や新興国株式全体に投資するETFであれば、国際的な分散投資が可能になります。 - 特定業種(セクター)
素材・化学や自動車・輸送機、機械、電気・精密などの景気変動を受けて大きく変動するセクターを「シクリカル(景気敏感)セクター」と呼びます。また、値下がり率が低く、手堅い動きをするセクターは「ディフェンシブセクター」と呼ばれます。食品や医薬品などの生活必需品や、電気・ガス、運輸・物流などのインフラ系がディフェンシブセクターに挙げられます。 - コモディティ
海外におけるコモディディETFとしては、原油やエネルギー、金、プラチナなどの商品を組み入れている金融商品があります
2.国内ETFの種類
国内ETFの種類としては以下があります。
- REIT(不動産投資信託)
投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産売買益を投資家に配当する投資信託です。REITの購入で、間接的に様々な不動産のオーナーになり、運用の成果を享受できます。 - レバレッジ型(ブル型)
レバレッジ型ETFとは、日経平均株価やTOPIXなどの値動きに対して、2倍の数値に連動します。変動が2倍になることから、小さな値動きでも利益が大きくなります。 - インバース型(ベア型)
インバース型ETFとは、日経平均株価やTOPIXなどの変動に対して、一定の負の倍数を乗じて算出されるインバース指標に連動する運用になります。 - コモディティ
金、プラチナなどの貴金属や原油先物価格に連動するETFです。一般的に、コモディティは株式・債券などと異なる値動きをすることから、株・債券の補完的な役割を持ちます。ただ、株式などと比べると、流動性が低いという欠点があります。
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