ロボアドバイザーと手数料
ロボアドバイザーの手数料とは
ロボアドバイザーの手数料にはサービスの利用手数料と投資信託の手数料の2種類があります。サービスの利用手数料とは商品の購入や運用をロボアドバイザーにやってもらう代わりに支払う手数料、投資信託の手数料とは投資信託の購入や運用、売却の際にかかる手数料のことです。
従来のやり方で投資信託を買う時には販売している会社に購入手数料を支払い、投資信託の運用中には投資信託会社と販売会社と信託銀行に信託報酬を支払い、海外の投資信託の売買には為替手数料を支払い、投資信託を売るときには信託銀行に信託財産留保額を支払うことになります。
ロボアドバイザーによる資産運用では、購入手数料と為替手数料を徴収することはなく信託財産留保額も楽ラップのみが徴収しているだけですから、ロボアドバイザーによる資産運用における投資信託の手数料は信託報酬のことだけ考慮すればよいのです。
サービスの利用手数料を支払うのは投資一任型のロボアドバイザーであり、アドバイス型のロボアドバイザーでは手数料はかかりません。
投資一任型のロボアドバイザーとはお金を預けるだけで、後は全てロボアドバイザーにお任せという投資の知識はないが投資に関心があるという投資初心者向けのサービスと言えるものです。
ロボアドバイザーの手数料は高い?
投資による資産の運用には投資信託やETF、FX、株式投資などの様々な投資商品がありますが、
これらの投資商品や証券会社を選ぶときに重要になるのが手数料が安さ重視することが常識になっています。
投資による資産の増加や減少は投資する時点では不確定な要素ですが、手数料に関しては投資する時点で支出されることが確定しているのです。
一度きりならわずかに感じる手数料も投資信託の期間が長くなればなるほど金額は大きくなり、投資結果を大きく左右する要素となります。
ロボアドバイザーの手数料は年間で約1%となっていますが、個人投資家が投資商品を自分で購入した場合は、購入時の手数料と解約の手数料、為替手数料で約1%かかるのが通常です。
手数料が同じくらいであれば、モデルポートフォリオの作成や投資商品の選択、売買を自動注文で行ってくれるロボアドバイザーを利用することはかなり有益なことであるといえます。
しかし、ロボアドバイザーは2年目以降も毎年手数料がかかりますが、個人投資であれば売買する時だけしか手数料を払う必要はありません。
手数料だけ見ればロボアドバイザーの手数料の高さはデメリットでしかありませんが、投資は結果がすべてであり、投資商品の中には手数料が高額でも手数料以上に運用収益を上げてくれるものも存在します。
ロボアドバイザーは簡単に利用できて、ロボットのアルゴリズムで人間が行う運用よりも間違いの少ない投資を自動で行ってくれますから、投資のハードルを低くしてくれる存在と言えるのです。
ロボアドバイザーの手数料の現状
ロボアドバイザーで自動資産運用のサービスを提供しているのはウェルスナビ株式会社Wealthnaviとお金のデザインTHEO、楽天の楽ラップなどですが、THEOはロボアドバイザーの手数料を最大0.65%まで引き下げることが決まりました。
新しく導入されるTHEO COLOR PALETTEは預かり資産に応じて手数料を引き下げ、1000万以上の預かり資産で手数料は0.65%となります。
高額投資家以外でも0.9~0.8%までの引き下げ条件はそれほど高いものではなく、恩恵を受けることができる投資家は幅広く、この手数料値下げによってTHEOに興味を示す投資家も少なくないはずです。
THEOの手数料値下げに対抗してウェルネスナビは、今まで預かり資金の1%の手数料を取っていたものを運用資金の1%に変更して形式上の値下げをしましたが、預かり資金のほとんどが運用されている現状から実質的な手数料値下げとは言えないものとなっています。
長期割というものもありますが、0.05%というレベルですからお得ではあるにせよTHEOの手数料値下げに対抗するには物足りません。
楽ラップは固定報酬型と成功報酬併用型のコースがありますが、手数料はロボアドバイザーの平均である1%前後です。
注意したいのは成功報酬併用型を選ぶと、固定報酬の手数料が減るものの運用による収益部分からその数倍の手数料を取られることになるというもので、楽ラップの成功報酬併用型はお勧めできません。
ロボアドバイザーの手数料を比較
ロボアドバイザーを利用する場合は利用手数料と投資信託手数料の2種類の手数料がかかりますが、主要3社を比較してみると次のようになります。
- ウェルスナビ:
利用手数料3000万円まで1%
3000万円超0.5%
投資信託手数料0.11~0.14% - THEO:
利用手数料3000万円まで1%
3000万円超0.5%
投資信託手数料 無料(1%内に含有) - 楽ラップ:
固定報酬型0.702%
成功報酬併用型0.594%+運用益の5.4%
投資信託手数料 最大で0.378%
利用手数料と投資信託手数料を総合してみるとTHEOを利用して投資信託を行う場合が手数料が最も安くなっています。
ウェルスナビでは長期で資産運用をしている利用者に対して、長期割という割引キャンペーンを実施していますから預かり資金に応じて手数料の割引を受けることができます。
※長期割判定額 50万円~200万円未満 手数料割引率0.01% 200万円以上 手数料割引率0.02%
このように利用手数料のみではほかのロボアドバイザーと比べて大差はなくても、長期割という他のロボアドバイザーにはない割引サービスを利用することでお得にロボアドバイザーを利用することができます。
その他のロボアドバイザーでは異なる手数料がかかる場合がありますから、資金運用で投資信託を利用する際には運用コストとして重要な手数料に気を配ることはもちろん、総合的な費用やサービス、キャンペーンの検討が必要です。
ロボアドバイザー手数料の今後
始まったばかりといってもいいロボアドバイザーの魅力は、簡単に投資を始めることができてリスクのより少ない投資が実現できるというものですが、さらに手数料が安くなることでより多くの人が投資の世界に参加することへのハードルを低くし、投資初心者の道しるべとなってくれる可能性があるサービスです。
アメリカではロボアドバイザーの手数料は0.15~0.5%の低価格に抑えられており、ターゲットとしている利用者がはっきりしています。
少額の投資家や若者などのプロのアドバイザーにわざわざ相談することがためらわれるような、20代から40代の仕事に追われて忙しい人や、少ない資金で運用を始めたい人などです。
日本のロボアドバイザーの手数料は、アメリカのロボアドバイザーの手数料の相場に比べると高すぎるといていい水準にとどまっている状態で、THEO COLOR PALETTEの手数料の引き下げは日本のロボアドバイザー普及のネックとなっている部分への新しい刺激となっています。
ロボアドバイザーは長期投資向きですから、投資期間が長くなるほど負担が大きくなる手数料の高さはロボアドバイザーの普及においてのブレーキとなりかねません。
THEOによってもたらされた新しい刺激によって、ウェルスナビや楽ラップをはじめとする日本のロボアドバイザー市場にた手数料改革の波が訪れることが期待されているのです。
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