WealthNavi(ウェルスナビ)のリバランス機能について
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近年は将来の資産形成を一般市民が自身の手で行えるように、NISAやiDeCoなど、投資に対する税金面の優遇措置を受けられるサービスが政府から提供されています。ただ、いくら税金が優遇されるとはいっても、一般市民が投資に手を出すのは難しい面があり、また抵抗感を抱く人が少なくありません。そんな人たちにとって期待されている投資手法がAIを搭載したロボアドバイザーです。
ロボアドバイザーに申し込むと、投資における難しいことや面倒なことを自分でしなくても、ロボアドバイザーが全て行ってくれます。そんなロボアドバイザーの中で、多くの人に利用されているのが「WealthNavi(ウェルスナビ)」です。
WealthNaviの優れているところは、ポートフォリオ(金融商品における資産配分)を構築したり、商品の購入・売却を行ったりするだけではありません。投資において最も手間がかかって難しいとされる「リバランス(資産配分調整)」を自動で行うことです。
仮に、リバランスを自分でやるとなると、ポートフォリオの内容を把握し、保有商品の時価を全て確認しなければなりません。そして、どの商品をどのくらい売却し、どの商品をどのくらい購入すれば良いのか、正確に計算する必要があります。さらに、決めた通りに売却と購入をすることが求められます。これを実際にやるとなると相当な手間がかかるため、一週間程度はこの作業に没頭しなければなりません。
WealthNaviはリバランスを自動で行うため、利用者は困難な作業から解放され、日々の仕事に専念できます。そして、自分では何もしないのに最適なポートフォリオが維持されます。
そもそも、WealthNaviにリバランス機能が備わっているのは世界の国の金融商品、及び株式や債券、不動産に分散投資をしているからです。WealthNaviは何十年も先の資産形成を目的にしていることから、長期的に安定した運用が最重要課題になります。日本の国の金融商品だけだと、日本の経済が停滞した場合に長期的な収益が望めなくなるため、世界の国の金融商品に分散させています。
また、主たる扱い商品を株式と債券に分散しているのは、リスクの軽減が目的になっています。仮に、投資対象が株式だけの場合は儲かるか損するかの二者択一なってしまいます。短期的な利益を望む場合はそれでも良いかもしれませんが、資産が減少するというリスクが大き過ぎるため、長期的な資産形成には適しません。だからこそ、株式と債券に資金を分散させます。
株式と債券に分散させるのは、両者に以下のような相関関係が存在するからです。
・債券価格が上昇すると株価は下落し、債券価格が下落すると株価は上昇する。
株式と債券の相関関係は金利が少なからず影響しています。例えば、金利が2%から3%に上昇したとします。その場合、100万円の債権を購入すると10年後の償還金額が120万円から130万円に変わり、10万円も多くなって償還されます。
一方、企業の場合は金利が上昇すると借入の負担が増えるため、設備投資や商品開発が停滞しがちになります。そうなると、一般市民は利益の望めない株式から、安全性があり、しかも金利の上がった債権に資金を移すようになります。つまり、債券価格が上昇し、株価が下がることになります。
逆に、金利が下がると反対の動きになります。債権を購入しても大した利子が付かなくなり、メリットが薄れます。企業は借入における利息の負担が減るため、企業活動が活発になります。一般市民も住宅や車など、高額商品の購入が増加します。必然的に、株式の値上り益や配当を求めて株式の購入量が増え、株価は値上りします。
WealthNaviは分散投資をすることで、相反する動きをする株式と債券のバランスをとり、リスクの低減化を図っています。従って、運用途中においてバランスに乱れが出た時は、リバランスが必要になります。
WealthNaviは利用者から運用の申込を受けると、始めに事前診断を行って利用者の投資適正を判定し、各利用者の投資適性に即したポートフォリオを作成します。
ただ、どんなに最適なポートフォリオであっても、相場の変動などによって時とともにバランスが崩れてきます。そのバランスの崩れを修正するのがリバランスです。リバランスによって、ポートフォリオを計画通りの最適な状態に戻し、上昇したリスクを低下させます。
WealthNaviのデータでも、リバランスをしないことによるポートフォリオの崩れが示されています。例えば、利用者のリスク許容度が「3」の場合の最適なポートフォリオは以下になっています。
- 米国株(VTI):31.0%
- 日欧株(VEA):23.4%
- 新興国株(VWO):6.1%
- 米国債券(AGG):27.7%
- 金(GLD):6.8%
- 不動産(IYR):5.0%
仮に、2008年~2018年の10年間、上記ポートフォリオをリバランスをしないまま放置したとすると、10年後には米国株の割合が31%から約1.5倍の47.9%まで増えてしまいます。一方、米国債券は27.7%だったものが16.7%と、当初の割合の2/3まで減ってしまいます。
株式は値動きが大きいため、このままではリスクが高くなり過ぎてしまいます。このようなことにならないようにリバランスが実施され、ポートフォリオ通りに配分が戻されます。つまり、リスクの大きい米国株を売却し、米国債券を買い増しします。
上記の場合はリスク許容度が3であるため、ポートフォリオとの乖離が大きくなっていますが、リスク許容度が5の場合は元々の株式の比率が高くなっています。従って、リスク許容度が5の利用者の場合は、リバランスを行ってもそれほど多い比率での売却・買い増しにはなりません。
WealthNaviにおけるリバランスは原則として半年ごとに行われます。最適なポートフォリオが保たれている場合は、リバランスが実施されません。なお、最適なポートフォリオの配分比率から5%以上乖離した場合は、半年より前倒ししてリバランスが行われます。ただし、利用者の資産評価額が50万円未満の場合は、前倒しでのリバランスは行われません。
なお、自動積立を利用している場合は、その資金がリバランスに充てられるため、ポートフォリオを保ちやすくなるというメリットを得られます。
リバランスのメリットには主に以下の3つがあります。
- 最適なポートフォリオの維持
WealthNaviは5年・10年という長いスパンでの運用を前提にしています。従って、長期での運用の成果を上げるには、ポートフォリオの維持は欠かせません。ポートフォリオの小さな乱れが、数年後の運用業績に大きな狂いを生じさせます。リバランスは長期的な安定収益をもたらします。 - リスクの低減化
ポートフォリオは利用者のリスク許容度に基づいて作成されています。その基本となるポートフォリオが乱れたのでは、利用者におけるリスクが増大します。リバランスによって利用者の投資適性に即したポートフォリオに戻すことで、利用者に安心を与えられます。 - パフォーマンスの向上
リバランスをすると、結果的に値上がりした株式を売却し、割安になった債権を購入することになるため、パフォーマンスが改善されます。
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