ウェルスナビとNISAについて
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利用者の資金を自動的に投資で運用するロボアドバイザーに「WealthNavi(ウェルスナビ)」があります。利用者にとっては何もしなくても資産が増えるため、こんな有難いツールはありません。ただ、欲を言うと唯一弱点になっているのが、税金面の優遇される「つみたてNISA」で運用できないことです。
WealthNaviとつみたてNISAは資産の運用方法がよく似ており、どちらも「長期」、「分散」、「積立」が基本になっています。
WealthNaviとつみたてNISAの運用方法には以下の違いがあります。
1.投資先
①WealthNavi
WealthNaviの投資先は7つの「海外ETF(上場投資信託)」です。「上場」であるため、証券会社で販売されている投資信託と違い、証券取引所で取引されています。また、ETFは価格が特定の指標と連動して変わるということが特徴になっています。なお、海外の金融商品であるため、米ドル建てでの投資となります。
WealthNaviが扱っているETFは以下の7種類です。
- 米国株
- 日欧株
- 新興国株
- 米国国債
- 物価連動債
- 不動産
- 金
WealthNaviでは、利用者から申込を受けた時点で無料診断を行い、利用者の「リスク許容度」を判定します。そして、そのリスク許容度ごとにポートフォリオ(金融商品における資産配分)を形成するため、リスク許容度によって7種類の商品の組合せの割合が変わります。
②つみたてNISA
つみたてNISAの投資先は金融庁によって以下の基準が設けられており、その数は約160あります。そして、対象商品は公募株式投資信託(一部ETF)に限定されています。
- 信託契約期間が無期限または20年以上である。
- 分配頻度が毎月ではない。
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていない。
投資信託全体の数は約6000本もありますが、国が投資先を約160本に絞ってあるため、商品を選びやすくなっています。
③比較
WealthNaviはAIを搭載したロボアドバイザーが投資商品を自動的に選択してくれます。一方、つみたてNISAは国が商品を選定しているとはいえ、利用者自身が最終的な投資先を決めるため、選択する時間と商品に対する理解が必要になります。
2.手数料
①WealthNavi
WealthNaviの利用手数料は1%(税別)であり、それ以外の費用は以下になっています。
- 利用手数料:預り資産3000万円まで年率1%、3000万円を越える部分は年率0.5%
例えば、預り資産が4000万円になった場合は、3000万円までは1%で、3001万円から4000万円までが0.5%になります。 - 売買手数料:無料
- 入金手数料:クイック入金-無料、銀行振込-利用者負担
- 出金:利用者負担
- 自動積立:無料
- 為替手数料:無料
- 口座開設:無料
- 信託報酬:年率0.10~0.14%
なお、信託報酬はリスク許容度によって変わります(左:リスク許容度、右:信託報酬)。
- 0.14%
- 0.11%
- 0.10%
- 0.11%
- 0.11%
信託報酬を加えると、WealthNaviの実質的な手数料は1.11%~1.14%となります。
なお、WealthNaviには長期利用者に対する割引制度があり、最大では0.1%が手数料から割引かれます。
②つみたてNISA
つみたてNISAで取扱われている金融商品はほとんどが「ノーロード」と呼ばれるもので、売買手数料が無料になっています。従って、手数料は信託報酬だけとなります。
手数料として、金融庁は下記の基準を定めています。
- 国内資産のみに投資するインデックス投信:0.50%以下
- 海外資産を組み入れているインデックス投信:0.75%以下
- 国内資産のみに投資するアクティブ運用投信:1.00%以下
- 海外資産を組み入れているアクティブ運用投信:1.50%以下
なお、インデックスとアクティブの特徴は以下になります。
- インデックス:市場全体の動きと似たようなパフォーマンスになっています。
- アクティブ:市場全体の動きより高いパフォーマンスを狙います。
国内資産のみに投資するインデックス投信であれば、0.1程度の信託報酬になっているものが少なくありません。
③比較
WealthNaviとつみたてNISAでは、手数料に1%近い差が出ます(商品によって)。短期的な投資であれば大きな影響は出ませんが、10年、20年という長期投資になると高額な差が生じます。手数料という面では、つみたてNISAの方が優れています。
3.税金
①WealthNavi(ウェルスナビ)
WealthNaviの運用で得た利益には、金額に関わらず一律20.315%(所得税15%、住民性5%、復興所得税0.315%)の税金が課されます。
ただ、WealthNaviには「DeTAX(デタックス)」と言って、税金の納付を繰延べできる機能があります。運用で得た利益が課税の対象になると、自動的に保有している商品の中で含み損の出ている商品を売却します。つまり、含み損を損失として確定させ、運用益と相殺させることで課税を防ぎ、納税を先送りします。ただし、あくまでも先送りであって、免税になったわけではありません。
なお、ポートフォリオが崩れないように、売却した商品は同じ価格で同じ数量が買戻されます。
②つみたてNISA
つみたてNISAの場合は、投資金額によって得られた運用益に対して税金が課されません。つまり、非課税ということです。つみたてNISAの最大のメリットはこの非課税であり、年間40万円(毎月約3.3万円の積立)を20年間、合計800万円の運用益に対して税金がかかりません。
仮に、運用益が毎年5%だった場合、投資金が40万円だと2万円の利益が出るため、所得税が4千円(税率を20%で計算)かかります。翌年は投資金が80万円になるため、税額は8千円になり、3年目には1万2千円の税金がかかります。この税金が20年間非課税になると、莫大な金額が手元に残ります。
③比較
WealthNaviとつみたてNISAの税金面での優劣は、非課税の分だけ、圧倒的に積立てNISAの方がお得です。
4.運用資金
①WealthNavi(ウェルスナビ)
WealthNaviの最低運用金額は10万円であり、口座開設時にその金額を入金しなければなりません。その後の積立は、1万円からになり、そのまま10万円だけを運用することも可能です。追加投資額に上限はありません。
②つみたてNISA
つみたてNISAの最低運用金額は100円からで、年間では40万円まで投資できます。
③比較
WealthNaviの運用における最低額は10万円ですが、投資を考える人にとってはそれほどの負担とは言えません。自動積立の1万円が厳しい場合は、任意の時点での追加投資ができます。
つみたてNISAは100円から投資ができるため、資金的な負担は全くありません。逆に、上限額が年間40万円と定められているため、高額な運用を希望する人には物足りなさがあります。
つみたてNISAは税金面での優遇という特典がWealthNaviを圧倒しています。また、手数料も安くなっており、投資に対する知識や経験、意欲のある人にとっては大きなメリットです。
WealthNaviは税金面や手数料の点で、つみたてNISAに劣ることは否めません。ただ、投資は資産を増やすことが目的であり、投資に失敗して損失を出しては元も子もありません。WealthNaviは経験も知識もない投資初心者でも利益を狙えるということが、何ものにも代え難い特典になっています。
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