ウェルスナビと銀行
ウェルスナビは自動で投資を行うロボアドバイザーを提供している企業ではありますが、純然たる金融機関ではありません。
そのため一見銀行と関係がなさそうな印象を受けることも少なくありませんが、投資の分野では銀行と競合関係にあります。
特に銀行が展開する長期的な積み立て投資を行う投資信託のような金融商品においては直接的な対立関係にあるといっても過言ではありません。
そういった意味で、旧来の銀行と新興のフィンテック企業(金融サービスと情報技術を結びつけたサービスを行う企業)であるウェルスナビは対極的なのです。
このような動きは日本に限らず全世界で展開されており、ロボアドバイザー先進国のアメリカでは新興のフィンテック企業であるウェルスフロント社と投資信託の大手であるバンガード社などの旧来の金融機関がロボアドバイザー技術を開発して競合関係にあります。
そういった意味で水と油の関係となっているのが世界的な風潮とも言えるのです。
国内でそんな関係にあるウェルスナビと銀行とのつながりと言うテーマを通じてウェルスナビについてお話ししていきます。
これを読めばウェルスナビと銀行との関係をある程度知ることができるのではないでしょうか。
Contents
ウェルスナビは銀行にもロボアドバイザーを提供している
海外では対立関係にあるロボアドバイザーも日本では、逆の動きも出てきています。
それはウェルスナビが銀行に対して自身のロボアドバイザーを提供している協力関係となっているケースもあるということです。
具体的な銀行名を上げていくと、住友信託銀行とSBIグループの合弁である住信SBIネット銀行、電気機器分野のソニーが運営するソニー銀行、小売り大手のイオンが運営するイオン銀行、通信会社のKDDIと三菱UFJ銀行が共同出資するじぶn銀行、そして地方銀行最大手の横浜銀行です。
このようにネット銀行や異業種の企業が出資する銀行が中心ではありますが、間接的とはいえ三菱UFJ銀行や住友信託銀行が協力関係にある他、地方銀行の最大手として知られ、他の地方銀行との提携も積極的に行っている横間は銀行にもウェルスナビのロボアドバイザーを提供するなど、完全な対立関係が必ずしも成り立たないということです。
これは同業のロボアドバイザー企業であるTHEOにも言えることで、THEOはかつての日本長期信用銀行の後継である新生銀行へロボアドバイザーを提供しています。
こういった構図も出来ていることから、日本では必ずしもロボアドバイザー専業のフィンテック企業と旧来の金融機関の形態である銀行との完全対立と言う関係には至っていません。
実際にこのロボアドバイザーと言う分野を見てみても大手メガバンクを含めた銀行が投資を実際に行うところまで機能する一任型のロボアドバイザーではなく、元々自社の持っている金融商品の組み合わせを紹介するアドバイス型のロボアドバイザーまでしか開発できていない、あるいはしないという関係からノウハウの豊富なウェルスナビやTHEOと言った一任型のロボアドバイザーを提供するフィンテック企業と協力しているという構図も読み取れます。
ウェルスナビが行うネット銀行への提供
前の項目で銀行とウェルスナビが協力関係にあるケースについてお話ししましたが、具体的銀行に対してどのようなサービスを行っているのか、特にネット銀行についてお話しします。
まず基本的に運用成績はウェルスナビの直営によるロボアドバイザーとネット銀行へ提供しているものとは全く同じです。
そのため、運用成績を求めてネット銀行、あるいはウェルスナビ本体と契約するというのはやや無意味と言えます。
では、ネット銀行のウェルスナビにはどのような特徴があるのか、と言ったテーマでお話しを進めていきます。
最初に住信SBIネット銀行です。
これは「ウェルスナビfor住信SBIネット銀行」と言うサービス名で提供されています。
特長は資産評価額に応じて住信SBIネット銀行の引出手数料と振込手数料の無料回数が増えることやマメタスと呼ばれるおつりで資産運用ができる「少額積立」のスマホアプリサービスを提供しています。
このサービスは毎日の買い物のおつりから少額投資ができ、このお金をウェルスナビのロボアドバイザーで運用するものです。
このマメタス機能はこの後紹介するいくつかの銀行などのサービスにも提供されています。
ソニー銀行に提供されるものは「ウェルスナビforソニー銀行」と呼ばれ、こちらもマメタスに対応です。
資産評価額に応じて、Sony Bank WALLET(ソニー銀行のデビットカード)のキャッシュバック率や振込手数料等の優遇特典を受けることができます。
イオン銀行やじぶん銀行にも提供を行っていますが、こちらは特徴がありません。
しかし、ウェルスナビのサービスをそのまま受けられます(長期割引は除外)。
このようにネット銀行に対しても積極的にサービス提供を行い、プラスアルファのサービスを各行で行っています。
ウェルスナビは地方銀行にも提供を開始
ウェルスナビは地方銀行にも提供を開始しています。
冒頭でお話しした横浜銀行です。
横浜銀行は日本最大の地方銀行で、総資産額で地方銀行のトップにあります。
ただ規模が大きいというだけではなく、東京の地方銀行(第二地銀)である東日本銀行を統合したり、新たな試みを行う等保守的で堅実な経営を行う地方銀行が多い中、積極的な行動を起こしている銀行でもあります。
そんな横間は銀行もウェルスナビと共同し、「ウェルスナビfor横浜銀行」を展開しています。
横浜銀行に口座を持っている場合は振込手数料無料でロボアドバイザーの証券口座への入金が可能となっているという特徴の他、マメタス機能も採用しています。
こういった試みは全国の地方銀行としては初めてで、この横浜銀行の成功が実れば、各地方銀行も一斉にウェルスナビを採用する可能性が高いです。
銀行など金融機関に囚われないウェルスナビの展開
これまで銀行との協力をお話ししてきましたが、ウェルスナビは銀行などの金融機関に囚われない展開を行っています。
SBI証券やSBIネオモバイル証券など証券会社との提携はもちろんのこと、国内大手のエアラインである日本航空とANAにも提供されています。
こちらは投資額に応じてマイルが貯まるなどのサービスがついており、注目されているという事実もあるのです。
これ以外にも東京海上日動では確定拠出年金の利用で運用を行う手段としてウェルスナビを使用しています。
また、金融とは関係のなさそうな鉄道会社にもウェルスナビはロボアドバイザーを提供しているのです。
小田急の行っているウェルスナビは資産運用の開始や資産評価額に応じて、小田急ポイントがたまりますし、東急の行っているウェルスナビは同様に資産運用の開始や資産評価額に応じて、TOKYU POINTがたまります。
このようにウェルスナビは金融機関に囚われず、希望する企業であれば鉄道やエアラインなどの運輸業界、保険会社、証券会社など銀行以外の分野にも積極的にサービスを提供しており、従来の枠組みにとらわれないフィンテック企業らしいサービス展開によって今後の金融業界に新しい風を呼び込もうとしているのです。
これからも国内ロボアドバイザーの草分けであるウェルスナビの動向に目が離せません。
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