ロボアドバイザーと「銘柄」

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ロボアドバイザー・WealthNaviの運用銘柄の確認

自動的に投資を行うロボアドバイザーの代表的なブランドに「WealthNavi」があります。WealthNaviがETF(上場投資信託)で運用されていることはよく知られていますが、そのETFの内容まで認識している人はあまりいません。

WealthNaviのマイページでポートフォリオ(資産配分)の画面を開くと、投資資産の内訳を確認できます。ポートフォリオでは、利用者のリスク許容度によって含まれる銘柄数が異なり、一般的にリスク許容度1と2では7銘柄、リスク許容度3~5では6銘柄が推奨されています。また、円グラフには利用者が投資する銘柄の比率が表されています。

ロボアドバイザー・WealthNaviの運用銘柄の内容

WealthNaviのETFの内容は主に以下になっています。

1.米国株(VTI)

VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)は、世界経済の中心である米国の株式に投資するETFです。アップルやマイクロソフト、アマゾン、フェイスブックなど、誰もが知っている大企業の株式が含まれています。VTIでは大企業から中小企業まで3600以上の銘柄に投資されており、結果として米国の株式市場全体に投資する形になっています。

VTIを運用しているのは米国の投資会社の「バンガード」ですが、世界で初めて個人投資家向けに「インデックスファンド(指数連動運用投資信託)」を販売した会社であり、資産残高は世界トップクラスです。

バンガードの運用する投資商品の中でも、VTIは純資産総額が10兆円を超える世界有数のETFであり、多くの投資家が運用する主力商品になっています。VTIは2001年に運用が開始され、18年の実績を誇ります。現在では、1日の取引量が300億円超と非常に多く、流動性の高さは申し分ないです。このように運用効率が高いことから、投資家の運用に課されるコストは年0.04%でしかありません。このコスト率は米国株に投資をするETFや投資信託の中では非常に低い水準になっています。

2.日欧株(VEA)

VEA(バンガード・FTSE先進国市場ETF)は、欧州やアジアなど、米国を除く先進国の株式に投資するETFであり、約3900の銘柄が対象になっています。銘柄の中にはトヨタ自動車(日本)やサムスン電子(韓国)、ネスレ(スイス)など、日本でもよく聞く企業の名前が入っています。国別の割合を見ると、日本が約22%で一番大きくなっており、イギリスやフランス、ドイツなどの欧州が半分以上を占めます。

運用実績は10年以上あり、純資産総額も約8兆円と大きくなっています。長期投資の対象商品として安定感があり、保有コストも年0.07%と低く、メリットの高いETFです。

3.新興国株(VWO)

VWO(バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF)は、成長率の高い新興国の株式に投資するETFです。新興国の中では中国の割合が全体の約3分の1になっており、台湾やインドが続きます。VWO全体では約4700の銘柄に投資されていますが、ネット関連のアリババグループやテンセントなどの中国企業の比率が高くなっています。なお、VWOでは規模の小さな企業まで幅広く投資対象とされています。

VWOの純資産総額も約7兆円と大きくなっており、運用実績も10年以上あります。保有コストは年0.14%と、VTIやVEAに比べると見劣りしますが、新興国への投資という面では他の投資信託よりも低くなっています。

4.米国債券(AGG)

AGG(iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF)は米国の国債や社債など、安全性の高い債券に投資するETFです。債権は株式とは違ってリスクが比較的小さく、安定した収益を望めます。

AGGを運用しているのは、預り資産残高が約660兆円という世界最大の米国の投資会社ブラックロックです。AGGは純資産総額が6.3兆円になっており、ブラックロックの運用商品の中でもトップクラスに位置しています。運用が開始されてから15年以上が経ち、世界における長期投資の代表的な商品に挙げられます。

5.物価連動債(TIP)

TIP(iシェアーズ米国物価連動国債ETF)は、米国政府が発行する物価連動国債に投資するETFです。物価連動国債は物価の上昇に合わせて価格が上がります。インフレ(物価上昇)が起きると、債券における金銭的価値が目減りします。しかし、物価連動国債の場合は物価上昇に合わせて価格が上がるため、価値が落ちることはありません。TIPはインフレに強い債券と言えます。

WealthNaviではリスク許容度1と2においてのみ、TIPを組み入れています。これによって、インフレに弱いAGGを補うことが可能になります。

6.金(GLD)

GLD(SPDRゴールド・シェア)は、金に投資するETFです。GLDを運用しているのは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズという米国の投資会社です。預り資産残高は約320兆円と世界第3位になっています。金は古くから世界的に価値を認められている安全資産であり、国際的な紛争の懸念があると、多くの投資家が資産の保持のために金を購入していました。また、金融危機が発生すると、株式などのリスクの高い資産から金への資金移動が生じるため、金を保有していると値上り益を得られます。

GLDの純資産総額は3.6兆円と巨額であり、2004年の運用開始降15年の実績があります。ただ、GLDの場合は保管コストがかかるため、経費率が0.4%と他の銘柄に比べて高くなることは否めません。

金への投資方法としては、現物の金の延べ棒を購入するという手段もありますが、安全な保管場所を確保しなければなりません。その点、ETFであれば現物を保有する必要がありません。なお、GLDが保有している金の延べ棒はHSBC銀行が管理しています。

7.不動産(IYR)

IYR(iシェアーズ米国不動産ETF)は、米国の不動産市場に投資するETFです。不動産を対象とした投資商品であるREIT(不動産投資信託)を通じて、米国のオフィスビルやホテル、住宅など幅広い不動産に投資します。不動産も金同様、古くから投資対象となってきた資産です。株式や債券と異なる値動きをするため、分散投資に適しています。

IYRは賃料などによる安定した収益が見込めるとともに、物価が上昇すると比例して不動産価格も高くなるため、インフレに強いという特徴があります。反面、株式と同じように、景気の悪化に付随して価値が下がるというデメリットもあります。

ロボアドバイザー・WealthNaviがVTを投資銘柄に含まない理由

WealthNaviは全世界(先進国及び新興国)の株式市場全体を投資対象とする「VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)」を運用対象銘柄に含んでいません。

その理由は、保有コストにあります。VTの保有コストは年0.10%になっており、VTI・VEA・VWOに比べると割高感があります。WealthNaviは利用者から取引ごとの手数料を取っていないため、コストを抑える必要があります。また、利用者の負担を低減するためにも、保有コストは低いに越したことはありません。

保有コストという点では、VTI・VEA・VWOの3銘柄を時価総額の割合で組み合わせた方が低くできます。また、VTの純資産総額は1.3兆円とあまり高くないことから、VTI・VEA・VWOの組み合わせの方が資産配分の調整がしやすいという利点もあります。

ロボアドバイザー・WealthNaviが投資銘柄に株式と債券を組み合わせる理由

ロボアドバイザーの投資の目的は「分散投資」でもあり、その点で株式と債券を組み合わせることは分散投資の代表的な手法と言えます。また、株式と債券の価格相場は逆方向に動くことが多くあり、そんな時に株式と債券の組み合わせが分散投資の効果を発揮します。

景気が悪化すると株式が売られ、安全性の高い債券は購入者が増えて値上がりする傾向があります。株価が下落しても、債券の値上がりによって影響が緩和されるため、ポートフォリオにおける株式と債券の組み合わせは必須となります。


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