ロボアドバイザーと「ドル建て」

ロボアドバイザーWealthNaviの運用実績におけるドル建てと円建ての表示

AI(人工知能)が自動で利用者の資産を運用するツールにロボアドバイザーがありますが、その代表的なブランドが「WealthNavi」です。実は、WealthNaviの運用実績は円建てとドル建ての両方で表示されています。

実は、円建てによる実績とドル建てによる実績には大きな差のあることが少なくありません。実際に、2019年9月の時点でドル建ての運用実績が+7.36%なのに、円建ての運用実績は+3.35%でしかありません。また、2018年3月には、ドル建ての運用実績が+5.39%に対し、円建ての運用実績が何と、-0.36%ということが起こりました。

ここまで差が出ると、初めてWealthNaviを利用した人は戸惑うかもしれません。ただ、迷う必要はなく、WealthNaviの実績を確認する場合は、ドル建て表記の数値を見るのが正解です。

ロボアドバイザーWealthNaviの投資はドル建て

WealthNaviの投資は全てドル基準になっています。その理由は、ウェルスナビの運用が海外の証券取引所で売買されている以下のような海外ETF(上場投資信託)で行われているからです。また、相場の変動などでポートフォリオ(投資商品における資産配分)にズレが生じた場合は、自動的にリバランス(資産配分の調整)が行われるため、常に一定の割合でETFを保有できます。

  1. 米国株(VTI)
    米国の株式に投資するETFです。アップルやマイクロソフト、アマゾン、フェイスブックなど、世界的な大企業の株式が名を連ねています。
  2. 日欧株(VEA)
    ヨーロッパやアジアなど、米国以外の先進国の約3900の株式が対象になっています。銘柄の中にはトヨタ自動車やサムスン電子、ネスレなど、日本でも有名な企業の株式が含まれています。
  3. 新興国株(VWO)
    成長率の高い新興国の株式に投資するものであり、新興国の中では中国の割合が全体の約3分の1を占め、台湾やインドもここに加わります。
  4. 米国債券(AGG)
    米国の国債や社債など、安全性の高い債券に投資するETFです。債権は株式とは違ってリスクが比較的小さく、また収益が安定しています。
  5. 物価連動債(TIP)
    米国政府が発行する物価連動国債です。物価連動国債は物価の上昇に合わせて価格が上がるため、インフレ(物価上昇)が起きても国債の価値が落ちないのが特徴です。
  6. 金(GLD)
    金に投資するETFです。昔から金はその価値が世界的に認められており、国際的な紛争が起きると必ず、金の購入が増加します。また、金融危機が生じると、株式などのリスクの高い投資商品から資産価値の高い金へのシフトが高まるため、金の値上り益が望めます。
  7. 不動産(IYR)
    米国の不動産市場に投資するETFです。不動産を対象とした投資商品であるREIT(不動産投資信託)を通じて、米国のオフィスビルやホテル、住宅など幅広い不動産に投資します。賃料などによる安定した収益が見込めるとともに、物価の上昇に合わせて不動産価格も高くなるため、インフレにも強くなっています。

上記のように、海外ETFが運用対象になっていることから、ドル建てで記載されている運用実績が内容を正確に表しています。それに対して、円建ての運用実績は円に換算されたものであるため、実績とは関係ない為替相場の影響が数値に反映されます。


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ロボアドバイザーWealthNaviの運用実績におけるドル建てと円建ての違い

例えば、アメリカに旅行に行く時は銀行や両替所などで円を米ドルに両替します。場所によって交換される金額に違いがあり、これも一種の為替取引です。仮に、為替が1ドル:110円であれば、110円を出すと1ドルと交換できます。1ドル:100円なら、100円を出すだけで1ドルが手に入ります。この為替の変動がWealthNaviの円建ての運用実績を大きく左右します。

例えば、1万ドルのETF商品を持っていたとします。為替が1ドル:100円の円高だった場合、円に換金すると100万円にしかなりません。ところが、1ドル:120円の円安になると、120万円になって戻ってきます。つまり、円安になったことで、20%も利益が増えたということです。

WealthNaviへの入金は円で行われますが、ETFを購入する際にはWealthNaviが円をドルに交換します。この時に為替相場の影響が出ます。当然、ETFを売却する時にもドルを円に交換する作業が入るため、為替相場次第で換金される円の価格が変わります。

つまり、円建ての運用実績は為替相場の影響を受けたものであり、同じ運用実績でも為替相場次第で変化します。一方、ドル建ての運用実績は運用結果をそのまま生で表した数値になっています。従って、ドル建ての運用実績がプラスなら、投資商品の価値が上がっていることを示します。

ちなみに、WealthNaviの公式サイトには円建てとドル建ての考え方に対する以下の記載があります。
『世界中を投資先とするWealthNaviのポートフォリオの価値を考える際も、円ではなくドルを基準にすることで、例えば「世界経済が上向いたことで株価が上昇した」など、世界経済の動きとポートフォリオの価値の変化との関係がわかりやすくなります。世界経済の成長とともに自分の資産も育ててゆくという観点からは、為替レートの影響を受ける円建てだけではなく、ドル建てで考えることにも大きな意味があるのではないでしょうか。』

ようするに、WealthNaviの成果を正当に評価するには、為替に左右される円建てで見るのではなく、ドル建てで見ることが必要だと言っています。

ロボアドバイザーWealthNaviのドル建て運用を効果的にする方法

WealthNaviのドル建てによる運用においては、為替相場の影響を極力抑えることが有効になります。その対策として最適な方法が、「積立投資」です。WealthNaviには積立投資を自動的に行ってくれる機能が付帯されています。積立投資とは、毎月同じ日に同じ金額分の商品を購入する投資方法のことです。「ドルコスト平均法」と呼ばれています。

ドルコスト平均法では同じ金額分を購入するため、投資商品の価格が高い場合は購入量は少なくなり、価格が安い場合は購入が多くなります。例えば、毎月1万円を積立てる場合、商品が2,000円の場合は5個、1,000円の場合は10個購入することになります。

仮に、現在1個2,000円の投資商品を10個所有していたとします。投資金額は2万円です。そこに、1個1,000円の商品が10個加わると、投資総額3万円で20個の商品を持つことになります。すると、商品1個の平均単価が2,000円から1,500円に下がります。当然、平均単価が下がった分、相場の値下がりの影響を減少させることができ、且つ相場が上がれば利益を生みやすくなります。これが、ドルコスト平均法の大きなメリットになっています。

ドルコスト平均法は為替においても同様なメリットを得られます。仮に、積立金が6,000円だった場合、1ドル:120円の円安だと購入する投資商品は50ドル分です。ところが、1ドル:100円の円高になると、60ドル分を購入できます。このことを何回も継続していくと、必然的に購入商品の為替価格は平均値に限りなく近づいていきます。つまり、円高になったとしても、資金の還元率が悪くなるわけではなく、円安にぶれれば還元率が高くなります。

これが、積立投資が有効とされる最大の要因です。

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