ロボアドバイザーと、401k
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401kとロボアドバイザー
ロボアドバイザーは資産を自動で運用したり、アドバイスを行ったりするシステムです。このロボアドバイザーは多くの資産運用の場面への応用が期待されています。当然年金の自動運用などにも応用が可能であることは確かと言えるのではないでしょうか。そんなロボアドバイザーですが、ロボアドバイザーの本場であるアメリカでは401Kという制度に応用されています。今回、この401kという制度とロボアドバイザー、そして日本においてはどのようなものが検討されているのかと言った話題を中心に解説をしました。これを読めばきっと401Kとロボアドバイザーのかかわりについて知ることができるのではないでしょうか。
まず401Kについてお話ししていきます。401K(Four o one k)とはアメリカンの個人の確定拠出型年金の一つで、課税上の特典がある積み立ての制度です。これは米国内国歳入法の条項名401条の(K)項から来ている名前で、民間企業の社員が加入できる積み立て型の年金と言えます。ちなみにアメリカにはNPO法人の職員向けの確定拠出型年金が403b、公務員軍人向けのTSPというように職種ごとに異なった名称となっています。この制度は上限額が定められている点と投資した金額の税金支払いが延期されるという点で特徴があります。税金に関しては投資した金額が一時的に控除され、年金を受け取る際に課税され、支給を受けるという仕組みになっているのです。年金を受け取る前に出金も可能ですが罰金が科せられます。この運用にロボアドバイザーを利用する人もいるのがアメリカです。
日本版401kの概要~ロボアドバイザーとのかかわりは?~
日本にも401Kのような制度があります。日本版401(k)と呼ばれる制度で、2つのタイプが存在します。それは企業型と個人型です。
企業型の日本版401(k)は企業型DC(Defined Contribution Plan、確定拠出制度)と呼ばれるもの二なります。これは企業が契約する出資方法で、企業自身が掛け金を払って従業員の掛け金を代わりに負担するというものです。これは従業員が個人的に契約を行って確定拠出型年金のお金を支払う必要がないため、メリットが大きいタイプと言えます。
個人型はiDeCo(イデコ)と呼ばれており、個人が掛け金を支払って運用を依頼するものです。かつては公務員など一部の職種は利用できませんでした。しかし、今は60歳以上の人、海外に住んでいる人、国民年金保険料を払っていない人以外は基本的に加入することができます(ただし企業型の確定拠出型年金に入っている方は入れません)。
この日本版401(k)のメリットですが、税制の優遇措置が充実している点、運用商品が選べる点、企業型の場合安全である点が挙げられます。
税制優遇措置は個人型の場合掛金が全額所得控除の対象、運用益は非課税(通常は運用益に20%程度の課税がかかる)、そしてアメリカの401Kとの違いは出金時に課税されることがないという点です。アメリカの場合は出金のたびに課税されるのですが、日本版401Kはむしろ課税の対象とならず年金や退職金(一時金として受け取る場合)と同じ扱いという大きなメリットがあります。
運用商品がえらびやすいのは運営管理機関が運用商品を選定して安全な金融商品のみを対象としているため便利です。さらに商品の運用手数料も低く抑えられたものが多く存在していますから、運用益が手数料でどんどん取られてあまり利益が残らないということはありません。これにより長期運用すればするほど運用コストの少なさが大きなメリットとなってきます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、社外に拠出金を積み立てているので、倒産しても従業員の年金資産として保護されるというメリットがあり、かつて日本航空が倒産した際に退職した社員の年金支給額が減少したと言った例のようにはなりにくいというメリットです。
ただ、運用で損失が生じた場合のリスクを個人型の場合、負わなければいけないなど気になる点もありますが、税制面の優遇などのメリットを考えるとそこまで大きなデメリットとは言い切れません。
こういった特徴のある日本版401(K)ですが、ロボアドバイザーとは親和性があまりよくありません。その理由として、確定拠出型年金の対象となる金融商品として一任型のロボアドバイザーは認められていないからです。ただし、将来的に運用が安定し市民権を今まで以上に持つことができれば対象となる可能性は否定できません。今のところロボアドバイザーと日本版401(K)とのかかわりは薄いですが、注視していく必要は十分にあります。
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401k運用のロボアドバイザー
一方アメリカでは確定拠出型年金の401K運用にロボアドバイザーが利用できます。海外に在住の場合、個人型の確定拠出型年金は利用できません。そういった場合にアメリカで401Kを利用することもあります。アメリカでは当然日本と同様に401K向けの金融商品が存在しそれを選んで運用を行うのですが、専用のロボアドバイザーも登場しています。それがBlooom(以下、ブルーム)です。
ブルームは401Kに対応したロボアドバイザーとして認められています。通常のロボアドバイザーの場合、日本と同様確定拠出型年金に対応していない場合もあるのですが、このブルームは月10ドルで定期的に401Kの運用のリバランスを行ってくれます。
ただし、このブルームの弱点は多くのロボアドバイザーのような一任型のものではありません。アドバイス型と言って助言を行ってくれるだけです。しかし、アメリカでは専門家に同様の助言を求めると大変な金額を請求されることがあるため、こう言った助言を無料で行ってくれ、しかも月10ドルで定期的に見直してくれるというのはとても大きいと言えます。
アメリカでさえ年金運用はアドバイス型のロボアドバイザーにとどまっていますが、制度さえ整備されればあっという間に一任型のロボアドバイザーも登場するのではないでしょうか。
日本版401kに向けた新たなロボアドバイザー
日本版401(K)とロボアドバイザーはかかわりがないと前の項目でお話ししましたが、実は最近日本の確定拠出型年金に対応したロボアドバイザーが登場する可能性も出てきています。
これはAIを利用した投資アドバイスサービス「VESTA」を運営する日本のGood Moneyger(グッドマネージャー)という企業が手掛けようとしているものです。もともとアドバイス型ロボアドアドバイザーのノウハウがあり、これが将来的に確定拠出型年金に対応していく可能性を秘めています。この動きに対して三菱UFJフィナンシャルグループが行っているMUFGアクセラレータプログラム(金融サービスに変革をもたらす熱意を持った起業家・ベンチャー企業の方々と、フィンテックやAI、ブロックチェーンなどで革新的なビジネスの立ち上げを目指すプログラムと公式でアナウンスされている支援活動)に選定されました。
アメリカ同様アドバイス型のロボアドバイザーによるサービスになりますが、将来的に対応していく可能性があるのです。
日本版401kもロボアドバイザーが大きな力に
日本版401(K)であるiDeCoなどの確定拠出型年金ですが、現在はロボアドバイザーとのかかわりはほとんどありません。
こういった現状ではありますが、日本でも数多くのロボアドバイザーが登場しており、銀行などの金融機関でもアドバイス型ロボアドバイザーは積極的に利用されています。
この流れが銀行の別の商品であるiDeCoにも利用される可能性は少なくありませんから、将来的に日本版401(K)にもロボアドバイザーが関わってくる可能性は大いにあると言えるのではないでしょうか。
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