ロボアドバイザーの市場規模
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ロボアドバイザーの市場規模拡大とその理由
資産運用の手段として定着しつつあるロボアドバイザーですが、その市場規模は大幅に拡大するとの見通しがなされています。単純に投資に興味があって、ロボアドバイザーを使って資産を増やしたい、と言う方も増加傾向にあるのも理由となるものの、日本の財政難や年金問題などの不安も大きな要因と成りうるようです。
年金問題と言えば、金融庁が提出した「老後は2,000万円必要」と言う資産を、政府が慌て気味に取り消したことなどもありました。国民の関心度の高い問題ですが、詳しく見ていくと、将来の見通しは明るいとな言い切れません。例えば、公的年金制度は恒常的に赤字体質に陥っており、徴収する保険料35兆円程度に対し、出ていく分の給付額は50兆円を超えています。近年は株価が高騰しているからまだ良いのですが、もしも景気後退局面に陥ると、積立金の運用は極めて厳しくなるのも、心配されるポイントです。このような事情から年金の支払額は上乗せが難しく、給付額の上昇率は物価変動率を下回っています。つまるところ、安定性にも問題がある上、肝心の給付額についても充分とは言えない状態なのです。
他には終身雇用制度の破綻や、低金利政策なども懸念材料となって、若者世代においても積極的な資産運用を考える動きは、拡大しています。この結果、投資活動を強力にバックアップしてくれるロボアドバイザーへの注目度が、高くなっているわけです。CMなどで効果的に認知を進めていったこともあり、今では割と知られた存在となってきています。
ロボアドバイザーの市場規模はどの程度まで拡大するのか
日本能率協会総合研究所が発表しているデータによれば、ロボアドバイザーの市場規模は2020年度には110万口座に達し、2023年度には260万口座を超えてくると言う予測になっています。2019年現在の口座数が70万程度ですから、かなりの増加率になっていることがうかがえるでしょう。特に2020年度以降は3年で倍増すると言う試算で、一気にメジャーな存在になる可能性があります。
他の予測としては、ロボアドバイザーを手掛けているウェルスナビ自身の発表したものが有名です。これによると、ロボアドバイザーによって運用される日本の金融資産は、2020年には5兆円程度になるとされています。このうち、ウェルスナビ自体の資産額は1兆円を目標にしたいと語っていました。近年の総額が1,200億円程度です。この数字目標は果たして現実味があるのかですが、まず、日本の家計金融資産は2018年末の段階で、1859兆円に達したとの統計があります。この5割以上が現金での預金となっているのです。つまり、この潤沢な預金を投資に活用する方が増えてくれば、ロボアドバイザーの市場も、それに伴って拡大してくると考えられます。
なお、アメリカについても見ておきましょう。向こうは日本に比べて、一般市民による投資がメジャーな存在となっています。アメリカの投資分析会社が試算したデータによると、2016年末の資産運用残高は830億ドル程度だったのが、2021年は3,850億ドルに達するとの見込みです。5年で10倍となると野心的な数字に見えるかも知れませんが、必ずしもそうとは限りません。別のアメリカの分析会社のデータでは、2兆ドルに達するとの見方もあります。最終的な結論は数年後になっていないとわからないものの、大幅に運用実績が成長している可能性は低くはないでしょう。
ロボアドバイザーの市場規模拡大に向けての世界各社の動き
市場規模が急拡大する可能性は極めて高く、投資会社にとっても今後のトレンドになりうるのがロボアドバイザーと言う存在です。このことを受けて、投資関連各社もロボアドバイザー事業に関して、様々な動きを見せています。この活発な動きこそが、AIやアルゴリズムを使った投資手段への注目度の高さを物語っていると言えます。
例えば世界最大規模を誇る投資会社のブラックロックが、2015年に業界第5位だったFutureAdvisorを買収した出来事は、投資家からは大きな注目を集めました。FutureAdvisorはロボアドバイザーを手掛けていた会社で、ブラックロックはこの買収によってライバルに対して優位に立ったと言われます。
加えて新規参入の動きも見逃せません。2018年にはアメリカの世界的に有名な金融会社、モルガン・スタンレーがロボアドバイザー事業への参入を発表しました。これによって、バンガードやチャールズ・シュワブなどの大手の存在を脅かすことになると注目を集めています。また、こちらも有名な企業となっている、ゴールドマン・サックスもロボアドバイザーのプラットフォームを開発していると言われているようです。このように大掛かりな動きが次々と引き起こされていますから、当然のように投資家からの注目度は高くなっており、今後の市場規模の拡大を強く感じさせる要因となっています。
ロボアドバイザーの市場規模拡大へ向けての日本の動き
世界的なモンスター企業が次々と参入を果たし、または画策している中、日本の企業も積極的な動きを見せています。日本のロボアドバイザーは現在、大手4社が存在しており、激しくしのぎを削っています。この4社の内訳は頭一つ抜き出ているウェルスナビの他、楽天証券とマネックス、そしてお金のデザインです。まだまだスタートしてから日が浅い各社のサービスですが、2018年の段階では資産運用総額は1,200億円に達しており、わずか2年で4倍まで規模を拡大したことになります。この流れは健在で、今後は更に加速する可能性もなくはありません。
市場が立ち上がった時は、どちらかと言うと資産運用に詳しい人が、リスク分散投資の一環として使っていたケースが多かったようです。しかし、ロボアドバイザーの持つ低コストで手軽と言う魅力が一般の方にも浸透し始め、投資初心者の流入が増えてきたため、一気に市場規模が成長を始めたと考えられます。まだまだ、アメリカの数百億ドル市場に比べると圧倒的な差があるのものの、日本の潜在的な資金力を考えると、伸びしろは極めて大きいと言えるでしょう。つまり、潤沢な家庭金融資産が投入されることになれば、国内のロボアドバイザー市場はアメリカに見劣りしないレベルに近づくかも知れません。
このような事情を考えて、国内での企業の動きも活発化してきました。具体的には大和証券や松井証券と言った業界大手が参入する他、多数のベンチャー企業がサービスをスタートしていく予定です。
ロボアドバイザー市場が規模拡大する理由にはサービスの魅力が
ロボアドバイザーが他のサービスと比べて注目を集めている理由には、複数の魅力の存在が挙げられます。その最大の魅力が、フィンテックを駆使することで達成できた、手数料の安さです。他に人気となっているプライベートバンキングなどの手数料と比べても、半額から数分の1程度までコストを圧縮できています。具体的には0.1%から1%程度の手数料で提供されているので、これはやはり大きな魅力でしょう。日本のインフレ目標が2%ですから、ロボアドバイザーであれば物価変動率よりも低水準のコストで、運用できることになります。後は自動的に色々な処理を行えるので、手間が省けると言うのもメリット。更に技術が進歩していくと収益性が高まる可能性もあり、目が離せない存在となっています。
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