ウェルスナビと他業者の比較
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近年はAIを搭載したコンピュータのロボアドバイザーによる投資を利用する人が増加しています。そのロボアドバイザーは多くの業者から提供されるようになっていますが、何と言っても代表的なロボアドバイザーは「WealthNavi(ウェルスナビ)」と「THEO(テオ)」です。WealthNaviとTHEOはともに投資一任型のロボアドバイザーであり、どちらも優れた機能が搭載されているため、投資を検討している人にとって、どちらを選択すれば良いのか迷います。
なお、投資一任型とは、利用者の年収や資産額などの投資可能環境や、リスクに対する意識などから、利用者における最適な利用プランを診断します。そして、利用者ごとにポートフォリオ(投資商品への資産配分)を構築し、自動的に資産運用を行います。
従来、資産運用をするためには資産計画を立て、計画に即した金融商品を選択し、実際に商品の購入や売却をするなど、利用者における負担が少なくありませんでした。そのような複雑な作業を解消してくれるのがロボアドバイザーです。
- WealthNavi(ウェルスナビ)
WealthNaviはウェルスナビ株式会社が提供しているサービスです。ロボアドバイザー運営会社の中では預かり資産・運用者数ともにNo.1になっています。
・設立年月:2015年4月
・資本金(資本剰余金含む):37億998万円(2019年5月) - THEO
THEOは株式会社お金のデザインによって運営されています。THEOは最低投資額が低くなっており、WealthNaviの10万円に対し、1万円から投資を始められます。
・設立年月:2013年8月
・資本金(資本剰余金含む):121億円2,392万円(2019年3月)
WealthNaviとTHEOの投資内容では、似ている点があれば異なる点もあります。
1.投資戦略
資産運用の基本戦略においては、両社とも同様な展開をしています。
- 長期投資:リスクの時間的な分散
短期的な価格の変動に左右されず、世界経済の緩やかな成長に即して長期投資を目指します。 - 海外投資:リスクの地理的な分散
1つの国の経済動向や政治状況の影響を受けないよう、世界各国の商品で運用します。 - 分散投資:リスクの商品的な分散
1種類の商品では相場の変動を直に受けるため、株式や債券、不動産などに分散して投資します。
WealthNaviは世界50ヶ国の11,000の銘柄、THEOは世界86ヶ国・地域の11,000以上の銘柄が投資対象になっています。
2.ポートフォリオ
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEOはともに、海外ETFのインデックス型銘柄が主体になっています。インデックスとは、主要な経済指標と連動するように運用される商品のことです。投資銘柄数に関してはWealthNaviが7銘柄、THEOが約30銘柄になっています。
銘柄の面では、WealthNaviは海外ETFの中でも純資産総額の大きい7銘柄を選定し、その中で配分比率を変えて運用しています。一方、THEOはWealthNaviより多い銘柄を投資対象に選択し、幅広く組合わせて運用しています。運用を総体的に見ると、WealthNaviは安全な商品で効率的な運用を目指し、THEOは幅広い商品の中からバランスを取った運用を図っています。
コスト面では、割引サービスに違いが見られます。
1.手数料
WealthNaviとTHEOはともに、資産額の1%を基本手数料としています。
2.割引サービス
- WealthNavi(ウェルスナビ)
WealthNaviには「長期割」という割引サービスがあり、運用期間と運用金額に応じて以下のように割引率が変わります。
・運用金額が50万円以上200万円未満:6ヶ月ごとに年率0.01%
・運用金額が200万円以上:6ヶ月ごとに年率0.02%
年率0.1%になるまで割引が続くため、割引が最大になった場合は手数料が0.9%になります。 - THEO
THEOは「カラーパレット」という割引サービスが提供されており、運用金額に応じたカラーによって手数料率が以下のように決まります。なお、毎月の積立運用と対象期間内の未出金が条件です。
・1万円以上:年率0.9%、
・50万円以上:年率0.8%
・100万円以上:年率0.7%
・1,000万円以上:年率0.65%
上記の割引サービスのお得度を評価すると、以下のことが言えます。
THEOの割引条件を満たす場合はTHEOの方がお得で、THEOの割引条件を満たせずに50万円以上を運用する場合はWealthNaviがお得になります。
WealthNaviもTHEOも運用実績を公表しているため、その運用実績から利回りを換算することができます。
WealthNaviは利用者のリスク許容度に応じて、ローリスク・ローリターン型の「リスク許容度1」から、ハイリスク・ハイリターン型の「リスク許容度5」まで、5段階の運用プランが用意されています。
2016年1月〜2019年6月までの運用実績は以下の通りです。
- リスク許容度1:7.6%
- リスク許容度2:11.8%
- リスク許容度3:14.4%
- リスク許容度4:17.0%
- リスク許容度5:18.6%
2016年1月に100万円、翌月から毎月3万円ずつを積立てた場合のものです。また、円建てでの実績になっているため、為替相場の損益が実績の数値に反映されます。
2.THEO
THEOは投資対象を世界の株式ETFとするハイリスク・ハイリターン型の「グロース」、投資対象を債券ETFとするローリスク・ローリターン型の「インカム」、投資対象をコモディティ・不動産・物価連動債とする資産防衛型の「インフレヘッジ」の3つの運用プランで構成されています。
THEOの2016年3月~2019年4月までの運用実績は以下の通りです。
- 最も運用実績が高かったプラン:9.39%
・グロース:81%
・インカム:17%
・インフレヘッジ:2% - 最も運用実績が低かったプラン:1.44%
・グロース:5%
・インカム:66%
・インフレヘッジ:29%
どちらも円建てでの実績です。
両者では集計方法やポートフォリオの構成内容が異なっています。従って、同じベースでの評価ができないため、優劣は付けられません。ただ、両者ともに年率でプラスになっており、着実に利益を確保できています。なお、国際的な経済状況が良かったためか、双方ともに概して、ハイリスク・ハイリターン型のポートフォリオの方が、ローリスク・ローリターン型よりも運用成績が高くなっています。
ロボアドバイザーの運用で得た利益には当然、所得税が課されます。納税方法は利用者が確定申告をする申告分離課税になっており、税率は利益額に関わらず、20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。ただし、利益額が20万円以下の場合は非課税です。
ちなみに、ロボアドバイザーの口座が「特定口座(源泉徴収あり)」の場合は、源泉徴収によって税金を納めるため、利用者が確定申告をする必要がありません。ただし、利益額が20万円以下でも源泉徴収が行われるため、納税した分が損することになります。
ところで、WealthNaviもTHEOも、税金最適化機能(納税の延期)が搭載されています。
- WealthNavi(ウェルスナビ)
ウェルスナビには「DeTAX(デタックス)」という機能が付帯されています。DeTAXでは、課税対象となる売却益が生じると、含み損のある所有銘柄を自動的に決済して損金を確定させます。つまり、売却益が損金と相殺されて消滅するため、納税を繰延べすることができます。含み損の銘柄を決済した場合は、類似の銘柄を同価格分買い戻すことで、ポートフォリオの資産配分を維持します。
- THEO
THEOには過去、税金最適化機能がありませんでしたが、2019年6月より「THEO Tax Optimizer(テオタックスオプティマイザー)」という機能が備わりました。税金最適化の方法は基本的に、WealthNaviと変わりません。含み損の銘柄を処分して利益と損金を相殺し、課税の実質的な繰延を図ります。
THEOにも最適化機能が設けられたことで、節税の点でのWealthNaviとTHEOの違いが無くなりました。
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